在留カードがデジタル化へ

物理カードからスマホへ？その動きとは

日本政府は、外国人の在留資格を証明する「在留カード」のデジタル化に向けて検討を進めています。これまで物理カードとして携帯が義務づけられていた在留カードを、スマートフォンなどのデジタル端末で管理できるようにする計画です。

背景には、利便性の向上や行政手続きの効率化、本人確認の迅速化といった目的があります。特に外国人労働者が増加する中で、デジタル化による管理のスマート化が注目されています。

今後、段階的に制度設計が進められ、導入時期や利用方法が発表されていく見通しです。

デジタル在留カードの概要

どんな仕組み？アプリ化の可能性

デジタル在留カードは、スマートフォンなどに専用アプリをインストールし、在留資格や期限などの情報をデジタルで表示・管理できるようにする仕組みです。QRコードやICチップ情報を使って、瞬時に本人確認ができる機能も検討されています。

アプリ化により、役所や職場での提示が簡単になるほか、更新通知や情報変更などもスマホで完結できる可能性があります。

いつから実施されるのか？

現時点では正式な開始日は発表されていませんが、政府は数年以内の導入を目指して制度設計を進めています。2025年以降、試験的な運用や一部地域での先行導入が始まる可能性もあります。

本格的な全国展開には、システム開発や法律整備、プライバシー保護の議論が必要となる見込みです。

外国人にとってのメリットと不安

紛失リスクの低下、手続きの簡略化

デジタル在留カードが実現すれば、物理カードの紛失リスクが大幅に減少します。スマートフォンで管理できるため、常に持ち歩く必要がなく、再発行の手間も省けます。

また、住所変更や在留資格の更新通知などもアプリ上で確認・申請が可能になれば、役所に行く回数も減り、生活の利便性が向上します。特に、日本語が不慣れな外国人にとっては、サポート機能のあるアプリの方が扱いやすいという声もあります。

プライバシーやデータ漏洩への懸念

一方で、スマートフォンに個人情報を保存することへの不安もあります。万が一、端末が紛失・盗難にあった場合、在留情報が第三者に悪用されるリスクがあるからです。

さらに、アプリのセキュリティ対策や、誰がどのように情報にアクセスできるのかといった点についても、明確な説明が求められています。外国人に安心して利用してもらうためには、信頼性の高いシステム設計と十分な情報提供が必要です。

企業・自治体への影響とは

入管手続きや本人確認の効率化

デジタル在留カードの導入により、企業や自治体は入管関連の手続きをよりスムーズに行えるようになります。特に、本人確認の場面では、スマートフォンをかざすだけで在留資格や有効期限の確認が可能となり、業務の効率化が期待されています。

雇用契約や各種申請手続きにかかる時間やコストも削減でき、外国人材を多く採用している企業にとっては大きなメリットとなるでしょう。

中小企業・現場での対応課題

一方で、中小企業や現場レベルでは、デジタル対応に不安の声もあります。アプリの操作に慣れていない外国人や、スマートフォンを所持していない人もいるため、従来のカードとの併用やサポート体制の整備が必要です。

また、導入初期には操作ミスやトラブルも想定されるため、企業側のマニュアル整備や従業員向け研修などの準備も求められます。

今後の展望と課題

完全デジタル化に向けた動き

デジタル在留カードの導入は、日本全体での完全デジタル化に向けた一歩となります。現在は試験運用が行われている段階ですが、今後数年以内には全国規模での導入が進むと予想されています。完全デジタル化が進むことで、物理カードの発行コストや更新手続きが削減され、外国人労働者をサポートするための行政手続きも迅速化します。

これにより、外国人労働者に対する管理が一元化され、より効率的に運用されることが期待されます。

法整備やインフラの課題とは？

しかし、完全デジタル化には法整備やインフラの整備が大きな課題となります。特に、個人情報保護やデータセキュリティの面での規制強化が求められます。個人情報がデジタルで管理されるため、万が一のデータ漏洩に対する対策が重要です。

さらに、外国人労働者の中にはスマートフォンを持たない人や、デジタル操作に不安がある人も多く、これらの人々をサポートするためのインフラ整備も不可欠です。デジタル化が進む中で、全ての人々が平等にアクセスできるような体制が整うことが重要です。