“ありがとう”が心に響いた瞬間:外国人社員のリアルな声
はじめに
日本の職場で外国人が感じた「忘れられない一言」
日本で働く外国人社員にとって、職場で交わされる何気ない一言が、 強く心に残る瞬間があります。特に多いのが、仕事を終えたあとにかけられる 「ありがとう」という言葉です。
日本語にまだ自信がない時期や、文化や職場のルールに必死で慣れようとしている中で、 上司や同僚から感謝の言葉をかけられると、 「ここで働いていていいんだ」という安心感につながります。
言葉の壁があるからこそ、短くてもはっきりと伝えられる感謝の言葉は、 外国人社員にとって特別な意味を持つ日本語になります。 本記事では、そんな「忘れられない一言」が生まれた瞬間を、 外国人社員のリアルな声とともに紹介していきます。
なぜ「ありがとう」が特別に感じられるのか
母国との文化的な違い
外国人社員が日本の職場で「ありがとう」を特別に感じる背景には、 母国での働き方や職場文化との違いがあります。 ベトナムをはじめとする東南アジアの国々では、 仕事は「やって当たり前」と捉えられることが多く、 上司や同僚から感謝を言葉にされる機会は決して多くありません。
そのため、日本の職場で上司や先輩から 「助かったよ」「ありがとう」と声をかけられると、 単なるあいさつ以上の意味として受け取られます。 「自分の仕事を見てくれている」「評価されている」という実感につながるのです。
日本人にとっては自然な一言でも、 外国人社員にとっては働く意欲や安心感を大きく左右する言葉になります。 文化の違いを理解することで、 なぜ「ありがとう」がこれほど心に残るのかが見えてきます。
ベトナム人社員の声:初めて日本で褒められた日
「仕事を見てくれていると感じた」
日本で働き始めたばかりのベトナム人社員からよく聞かれるのが、 初めて仕事を褒められた日のことは今でも覚えているという声です。 日本語や仕事の進め方に不安を抱えながらも、 一生懸命取り組んでいた姿を見てくれていたことに、強い印象を受けたといいます。
あるベトナム人社員は、次のように話しています。
「作業が終わったあと、上司に『丁寧にやってくれてありがとう』と言われました。
その一言で、ちゃんと仕事を見てもらえていると感じました」
母国では、仕事をしても特別に褒められることは少なかったため、 日本での何気ない一言が、大きな励みになったそうです。 小さな「ありがとう」や「助かった」が、 働き続けるためのモチベーションへと変わった瞬間でした。
インドネシア・フィリピン人の声:立場を超えた感謝に驚き
上司からの「ありがとう」に戸惑いと喜び
インドネシアやフィリピン出身の外国人社員からも、 日本の職場で上司が部下に感謝を伝える姿に驚いたという声が多く聞かれます。 母国では上下関係がはっきりしており、 上司から直接「ありがとう」と言われる経験は少ないためです。
そのため、日本で上司から感謝の言葉をかけられると、 最初は戸惑いながらも、次第に大きな喜びへと変わっていきます。 「立場に関係なく、仕事としてきちんと評価されている」と感じられるからです。
実際に、こんな声があります。
「日本では、上司が『ありがとう』と言ってくれるのが印象的でした。
とても丁寧で、働きやすい職場だと感じました」
日本人にとっては自然な職場のやり取りでも、 外国人社員にとっては日本の職場文化を好意的に受け取るきっかけになります。 感謝を言葉にする姿勢が、信頼関係づくりにつながっているのです。
企業・職場が意識したい「伝える感謝」
言葉にしない日本文化とのギャップ
日本の職場では、「察する」「空気を読む」といった文化が根づいており、 感謝の気持ちもあえて言葉にしない場面が少なくありません。 日本人同士であれば通じるこの感覚が、 外国人社員にとっては分かりにくいことがあります。
外国人社員は、「何も言われない=評価されていない」と受け取ってしまうこともあります。 そのため、日本の職場では当たり前の沈黙が、 不安や戸惑いにつながるケースも見られます。
だからこそ、外国人社員に対しては、 感謝や評価をはっきりと言葉で伝えることが重要です。 特別な表現は必要なく、「ありがとう」「助かりました」といった 短い一言で十分に伝わります。
感謝を言語化することは、職場の雰囲気を良くするだけでなく、 外国人社員が安心して長く働ける環境づくりにもつながります。 小さな意識の違いが、大きな信頼関係を生むのです。
まとめ:「ありがとう」は最も伝わりやすい日本語
特別な制度より、日常の一言
外国人社員にとって、日本語の中で最も分かりやすく、 そして心に残りやすい言葉が「ありがとう」です。 難しい説明や特別な制度よりも、 日々の仕事の中で交わされる一言の感謝が、 大きな安心感につながります。
感謝の言葉は、相手の立場や国籍を問わず、 仕事をきちんと見ているというメッセージになります。 それは外国人社員にとって、 「この職場で必要とされている」という実感を持つきっかけになります。
外国人材の定着や信頼関係づくりは、 大きな仕組みを整えることだけでは実現しません。 日常の中で自然に交わされる「ありがとう」こそが、 多文化の職場を支える第一歩となります。

