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2026.07.12 コラム

36.7%集中|静岡県の外国人雇用はなぜ製造業に多い?日本語・教育・定着の課題

36.7%集中|静岡県の外国人雇用はなぜ製造業に多い?日本語・教育・定着の課題

36.7%集中|静岡県の外国人雇用はなぜ製造業に多い?日本語・教育・定着の課題

静岡県の製造業で働く外国人労働者は、2025年10月末時点で3万2694人に達しました。県内の外国人労働者全体の36.7%を占め、外国人雇用事業所数でも製造業が最多です。自動車部品、輸送用機械、電気機械、食品などの製造拠点が集まる静岡県では、外国人材が生産現場や技術部門を支える存在になっています。一方、採用人数が増えるほど、日本語による作業指示、報告・連絡・相談、安全教育、技能の習得、職場定着といった課題も表面化します。本記事では、静岡県の最新統計を基に、製造業で外国人雇用が多い理由と、現場で起こりやすい問題、企業が整えるべき教育体制を解説します。

静岡県の製造業で働く外国人は3万2694人

静岡労働局が公表した「外国人雇用状況」の届出状況によると、2025年10月末時点の静岡県内の外国人労働者数は8万8968人です。

産業別で最も多いのは製造業で、外国人労働者数は3万2694人となっています。県内で働く外国人労働者の36.7%が製造業に従事している計算です。

製造業で外国人を雇用する事業所数も2940所で、県内の外国人雇用事業所全体の26.8%を占めています。外国人労働者数と外国人雇用事業所数の両方で、製造業が県内最多です。

静岡県の製造業における外国人雇用
項目 人数・事業所数 県内全体に占める割合 前年比
県内の外国人労働者総数 8万8968人 100% 9.1%増
製造業の外国人労働者数 3万2694人 36.7% 6.5%増
県内の外国人雇用事業所総数 1万967所 100% 7.2%増
製造業の外国人雇用事業所数 2940所 26.8%

製造業の外国人労働者数は、前年の3万698人から1996人増加しました。外国人雇用は、一部の大手メーカーや大規模工場だけのものではなく、部品加工、食品製造、機械製造などを担う県内の中小企業にも広がっています。

製造業の内訳では、輸送用機械器具製造業で1万114人、食料品製造業で7006人、電気機械器具製造業で2823人、金属製品製造業で2526人の外国人労働者が働いています。

静岡県の製造業にとって、外国人雇用は例外的な採用方法ではなく、すでに地域の生産と技術を支える重要な採用手段になっています。

なぜ静岡県の製造業では外国人雇用が多いのか

静岡県は、輸送用機械、電気機械、食品、金属製品、生産用機械など、多様な製造業が集積する地域です。

工場では、生産量を維持するための人員だけでなく、設計、生産技術、品質管理、設備管理、社内システムなどを担当する専門人材も必要です。しかし、若手人材の減少や経験者採用の競争激化により、必要な人材を日本人だけで確保することが難しくなっています。

静岡県の製造業では、さまざまな在留資格を持つ外国人が働いています。

在留資格別に見た製造業で働く外国人労働者
在留資格の区分 県内の総数 製造業の人数 製造業で働く割合
専門的・技術的分野の在留資格 2万230人 8265人 40.9%
うち技術・人文知識・国際業務 9399人 3517人 37.4%
技能実習 1万8211人 9514人 52.2%
身分に基づく在留資格 3万9296人 1万3027人 33.2%

この数字からも、製造業の外国人雇用には、組立や加工などの現場業務を担う人材だけでなく、専門知識を必要とする技術職の人材も含まれていることが分かります。

製造現場を支える人材

製造ライン、加工、組立、検査、梱包などの業務では、技能実習、特定技能、永住者、定住者など、仕事内容に対応した在留資格を持つ外国人が働いています。

これらの業務では、正確な作業、品質基準の理解、安全規則の遵守が必要です。仕事を覚えれば戦力になる一方、教育方法が曖昧な職場では、作業ミスや事故の危険が高まります。

設計やITを担う技人国人材

製造業では、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人も3517人働いています。

技人国ビザ人材が担当できる可能性のある職種には、機械設計、電気設計、CAD、研究開発、生産技術、社内システム開発、サーバー・ネットワーク管理などがあります。

ただし、技人国ビザは、工場のライン作業や単純な反復作業を主業務として行うための在留資格ではありません。本人の学歴や職務経験と、実際に担当する専門業務との関連性が必要です。

技人国人材を「エンジニア」として採用しても、実際の業務の大半が製造ラインでの組立や検査であれば、適正な在留資格運用とはいえない可能性があります。工場研修を行う場合も、研修期間、目的、その後に担当する専門業務を明確にする必要があります。

製造現場で起きやすい日本語・報連相・安全教育の課題

外国人材を採用した企業から聞かれやすいのが、「日常会話はできるのに、仕事の指示が正確に伝わらない」という問題です。

製造現場では、一般的な日本語とは異なる専門用語、社内用語、機械の名称、品質基準、安全上の合図が使われます。そのため、日本語能力試験の級や日常会話だけでは、実務で必要な理解力を判断できません。

曖昧な作業指示が誤解を生む

日本人同士の現場では、次のような曖昧な表現が使われることがあります。

  • これを少し削っておいて
  • 前と同じようにやって
  • 適当なところで止めて
  • なるべく早く仕上げて
  • 問題があったら報告して

日本人社員は過去の経験や職場の空気から意味を推測できますが、外国人社員には、どの程度削るのか、何分までに終えるのか、何を問題として報告するのかが伝わらない場合があります。

「分かった」と返事をしていても、本人は質問するタイミングが分からなかったり、何度も聞くことを失礼だと考えていたりすることがあります。

報告・連絡・相談の基準が共有されていない

日本の職場では報告・連絡・相談が重視されますが、何を、いつ、誰に、どの方法で報告するのかまで教えていない企業もあります。

機械の異音、製品の傷、寸法のずれ、材料の不足などを発見しても、「自分で直してから報告するべき」「小さな問題なら報告しなくてもよい」と判断する人もいます。

外国人社員だけの問題と考えるのではなく、報告が必要な基準を企業側が明文化しているかを見直す必要があります。

安全教育が口頭説明だけになっている

製造現場では、機械への巻き込まれ、切創、転倒、重量物の運搬、化学物質の取扱いなど、さまざまな危険があります。

厚生労働省は、外国人労働者への安全衛生教育について、日本語の理解度を確認し、母国語に翻訳された教材や視聴覚教材を活用することを求めています。合図、標識、掲示などについても、本人が理解できる方法で教育することが重要です。

教育を一度実施して署名をもらうだけでは不十分です。実際の作業を見ながら理解度を確認し、繰り返し教育する必要があります。

外国人社員の日本語力だけを問題にするのではなく、日本人社員の指示が具体的で分かりやすいかを見直すことが重要です。指示や報告の基準を明確にすれば、日本人の新人教育や作業品質の改善にもつながります。

外国人材の定着を高める教育体制とリーダー育成

外国人材の採用を成功させるためには、入社時の説明だけでなく、仕事を覚え、職場に定着するまでの教育体制が必要です。

1.作業指示を数字と基準で伝える

「少し」「適当に」「早めに」といった表現を減らし、数量、時間、寸法、完成基準を具体的に伝えます。

  • 3ミリ削る
  • 午前10時までに20個仕上げる
  • 傷が1ミリ以上あれば不良品として報告する
  • 赤い線を超えたら機械を停止する

指示後は「分かりましたか」と聞くだけでなく、本人に作業内容を説明してもらう復唱確認が有効です。

2.写真や動画を使ったマニュアルを整える

文章だけのマニュアルは、日本語力によって理解度に差が出ます。

正しい作業、禁止されている作業、不良品の例、保護具の着用方法などを、写真、図、動画、色分けを使って示します。

すべてを母国語に翻訳することが難しい場合は、短い日本語と写真を組み合わせるだけでも伝わりやすくなります。

3.報告が必要な場面を一覧化する

報告・連絡・相談を精神論で教えるのではなく、報告が必要な場面を一覧にします。

  • 機械から普段と違う音がする
  • 図面と製品の寸法が合わない
  • 材料が不足している
  • 安全カバーが外れている
  • 作業手順が分からない
  • 納期に間に合わない可能性がある

報告した社員を叱るのではなく、早い報告を評価する職場にすることも重要です。

4.教育担当者と定期面談の担当者を決める

現場の社員全員が別々の方法で仕事を教えると、指示が食い違います。主となる教育担当者を決め、習得すべき作業と確認時期を整理します。

また、業務の指導者とは別に、職場で困っていることを相談できる担当者を決める方法もあります。

入社後1週間、1か月、3か月などの節目に面談し、仕事内容、日本語、人間関係、給与や勤務条件に認識のずれがないか確認します。

5.外国人リーダーを育成し、役割を評価する

長く勤務し、仕事と日本語を習得した外国人社員は、新入社員への作業説明や相談対応を担うリーダー候補になります。

同じ言語を話せる先輩社員が教育を補助することで、安全上の注意や細かな作業基準が伝わりやすくなる場合があります。

ただし、同じ国籍だからという理由だけで、無償で通訳や新人教育を任せるのは適切ではありません。役割を正式に決め、評価、役職、手当などに反映することが必要です。

採用した外国人材を長期的な戦力にするには、単純な人員補充で終わらせず、技能習得、評価、昇進までの道筋を示すことが重要です。

静岡県内でCADエンジニア、機械設計、ITエンジニアなど、製造業の専門業務を担う外国人材をお探しの場合は、外国人技術者の採用相談フォームよりお問い合わせください。

まとめ|外国人採用は人数確保より教育と定着が重要

静岡県では、外国人労働者の36.7%に当たる3万2694人が製造業で働いています。外国人雇用事業所数でも、製造業が2940所で県内最多です。

製造業の外国人雇用には、技能実習や特定技能などで現場業務を担う人材だけでなく、技術・人文知識・国際業務の在留資格で設計やITなどを担う専門人材も含まれます。

一方、外国人材を採用するだけでは、人手不足や技術者不足が自動的に解消されるわけではありません。

作業指示が曖昧である、安全教育が口頭だけである、報告基準が共有されていない、教育担当者が決まっていない状態では、作業ミス、事故、職場内の不満、早期退職につながる可能性があります。

具体的な指示、分かりやすいマニュアル、継続的な安全教育、定期面談、リーダー育成を組み合わせることで、外国人材が能力を発揮しやすい職場を作ることができます。

株式会社SAITORAIでは、日本国内に在留するベトナム人をはじめとした東南アジア出身の技術・人文知識・国際業務の外国人材を中心に、正社員採用を検討する企業様への人材紹介を行っています。

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なお、株式会社SAITORAIでは、製造ラインの組立、加工、検査、梱包などを主業務とする人材の紹介は行っておりません。製造業における設計、開発、ITなどの専門職採用についてご相談ください。

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出典: 静岡労働局「静岡県の外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和7年10月末現在)」

厚生労働省「外国人労働者の安全衛生管理」

厚生労働省「外国人労働者に対する安全衛生教育の推進等について」

出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」

掲載している外国人労働者数は2025年10月末時点の届出状況に基づいています。在留資格の許可や更新は、実際の仕事内容、学歴、職務経験、雇用条件などを基に個別に審査されます。

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