技術者不足を突破|静岡県東部の製造業が外国人エンジニアを採用する方法
静岡県東部の製造業では、機械設計、CAD、生産技術、品質保証、社内システムなどを担う技術者の確保が重要な経営課題になっています。求人を出しても応募が集まらない、経験者を採用できない、熟練社員から若手への技術承継が進まないと悩む企業も少なくありません。静岡県全体では、外国人労働者の36.7%が製造業で働き、専門的・技術的分野の在留資格で働く外国人は2万230人まで増えています。しかし、外国人であれば誰でも設計や製造の仕事を任せられるわけではありません。技能実習、特定技能、技人国では制度の目的と担当できる業務が異なります。本記事では、静岡県東部の製造業が外国人エンジニアを正社員として採用する方法と、在留資格、専攻、日本語力、実務経験を確認するポイントを解説します。
静岡県の製造業で外国人技術者の存在感が高まっている
静岡労働局が公表した外国人雇用状況によると、2025年10月末時点の静岡県内の外国人労働者数は8万8968人です。
産業別では製造業が3万2694人で最も多く、外国人労働者全体の36.7%を占めています。
専門的・技術的分野の在留資格で働く外国人は2万230人で、前年から21.5%増加しました。このうち製造業で働く人は8265人で、専門的・技術的分野全体の40.9%を占めています。
| 項目 | 人数 | 割合・前年比 |
|---|---|---|
| 静岡県内の外国人労働者 | 8万8968人 | 前年比9.1%増 |
| 製造業で働く外国人労働者 | 3万2694人 | 外国人労働者全体の36.7% |
| 専門的・技術的分野の外国人労働者 | 2万230人 | 前年比21.5%増 |
| 専門的・技術的分野のうち製造業で働く人 | 8265人 | 同区分全体の40.9% |
| 技人国ビザで働く外国人 | 9399人 | 前年比15.7%増 |
| 技人国ビザのうち製造業で働く人 | 3517人 | 技人国全体の37.4% |
ここで注意したいのは、専門的・技術的分野の2万230人が、すべて技人国人材ではないことです。
この区分には、技術・人文知識・国際業務のほか、特定技能、経営・管理、企業内転勤、技能など、複数の在留資格が含まれています。
そのうち、技人国ビザで働く外国人は9399人です。製造業で働く技人国人材は3517人で、技人国人材全体の37.4%を占めています。
外国人技術者の採用は、県内製造業にとって特殊な方法ではありません。すでに3500人を超える技人国人材が、静岡県の製造業で働いています。
県東部でも専門人材の確保が課題
静岡県東部には、富士市の紙・パルプ、化学、機械、輸送機器、沼津市や三島市周辺の機械、電気、IT、医療機器、裾野市周辺の自動車関連など、多様な製造業があります。
製造現場を支える人員だけでなく、次のような専門人材も必要です。
- ・機械設計エンジニア
- ・電気・電子設計エンジニア
- ・CADオペレーター
- ・生産技術担当者
- ・品質管理・品質保証担当者
- ・設備設計・設備管理担当者
- ・社内システム担当者
- ・システム開発エンジニア
- ・サーバー・ネットワークエンジニア
日本人だけに採用対象を限定して応募を待ち続けるのではなく、日本国内ですでに働いている外国人技術者まで対象を広げることで、人材と出会える可能性が高まります。
技能実習・特定技能・技人国は何が違うのか
製造業で外国人を雇用する際は、会社の業種だけでなく、本人に任せる仕事内容に合った在留資格を選ぶ必要があります。
技能実習、特定技能、技人国では、制度の目的、対象業務、採用要件、受け入れ方法が異なります。
| 在留資格 | 制度の目的 | 製造業で想定される業務 | 主な要件・特徴 |
|---|---|---|---|
| 技能実習 | 日本で身につけた技能や知識を開発途上地域などへ移転する国際協力 | 認定された技能実習計画に基づく対象職種・作業 | 技能実習計画の認定や監理が必要。労働力不足を補うことだけを目的に利用する制度ではありません。 |
| 特定技能 | 人材確保が難しい特定産業分野で、一定の技能を持つ外国人材を受け入れる | 工業製品製造業分野で認められた製造・加工・組立などの業務 | 原則として技能試験と日本語試験が必要。特定技能1号では受け入れ機関による支援が必要です。 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 大学や専門学校などで学んだ専門知識、または一定の実務経験を生かして働く | 機械設計、電気設計、CAD、生産技術、システム開発などの専門業務 | 専攻や職務経験と仕事内容の関連性が必要。単純作業や反復作業を主業務にはできません。 |
技能実習は2027年4月から育成就労制度へ移行
現行の技能実習制度は、2027年4月1日に始まる育成就労制度へ移行します。
技能実習制度は、技能移転による国際貢献を目的としてきました。一方、育成就労制度は、人手不足分野で3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成し、人材を確保することを目的とします。
施行日前に認定を受けた技能実習計画に基づいて実習を行っている人は、経過措置によって施行日以降も技能実習を継続できる場合があります。
2027年4月以降、技能実習が一斉に消えるわけではありません。経過措置が設けられているため、企業は現在受け入れている人材の計画と、新制度による新規受け入れを分けて確認する必要があります。
特定技能と技人国は仕事内容で選ぶ
製造ラインでの加工、組立、製品製造などを担う人材が必要な場合は、特定技能などの対象になる可能性があります。
一方、図面を作成する、機械を設計する、製造工程を改善する、システムを開発するといった専門業務を任せる場合は、技人国ビザが検討対象になります。
企業側が「外国人を採用したい」と考えるだけでは、適切な在留資格を判断できません。
実際に毎日どのような仕事を担当してもらうのかを先に整理し、その仕事内容に合う在留資格を選ぶことが重要です。
CAD・設計・IT・品質管理で技人国人材を採用する方法
技人国人材の採用は、求人票を作成する前の職務設計から始まります。
職種名だけではなく、担当業務、使用するソフト、必要な知識、責任範囲を具体的に整理しましょう。
「技術職」「エンジニア」「品質管理」といった広い表現だけではなく、毎日の業務を具体的にします。
- ・2D・3Dの機械図面を作成する
- ・製品や治具の設計変更を行う
- ・部品表や仕様書を作成する
- ・製造工程や設備配置を改善する
- ・不具合原因を分析して改善案を作成する
- ・社内システムを開発・保守する
- ・サーバーやネットワークを設計・運用する
候補者が大学や専門学校で学んだ内容と、入社後に任せる仕事との関連性を確認します。
例えば、機械工学、電気電子工学、情報工学などを専攻した人材は、学んだ科目と仕事内容が関連していれば、設計やIT業務に従事できる可能性があります。
大学卒業者については、専攻と業務の関連性が比較的柔軟に判断されます。一方、日本の専門学校を卒業した人材については、原則として専攻科目と仕事内容に相当程度の関連性が求められます。
関連する学歴がない場合でも、自然科学や人文科学の知識を必要とする業務について、原則として10年以上の実務経験があれば、要件を満たす可能性があります。
技人国ビザの仕事には、学術的・体系的な知識を背景とする一定水準以上の専門性が必要です。
出入国在留管理庁は、一般的な求人で「未経験可」「すぐに慣れます」と説明されるような仕事や、反復訓練によって従事できる仕事は、原則として技人国の対象にならないと示しています。
製造業では、同じ職種名でも実際の仕事内容によって判断が異なります。
| 職種 | 技人国の対象になり得る業務 | 注意が必要な業務 |
|---|---|---|
| CAD | 設計者の指示に基づく図面作成、設計変更、部品検討、図面管理 | 決められたデータを入力するだけの反復作業や、単純なトレースだけが主業務の場合 |
| 機械・電気設計 | 仕様検討、構造設計、回路設計、強度計算、部品選定、設計変更 | 製造ラインでの組立や加工が主業務になっている場合 |
| 生産技術 | 工程設計、設備導入、治具設計、生産性改善、製造条件の検討 | 機械への材料投入や定型的な機械操作だけを行う場合 |
| 品質管理・品質保証 | 品質データ分析、不具合原因の究明、改善計画、品質基準策定、顧客対応 | 目視検査、製品の選別、単純な寸法測定だけが主業務の場合 |
| IT・社内システム | システム設計、開発、運用、保守、ネットワーク設計、情報セキュリティ | 専門知識を必要としない機器の運搬や定型入力だけを行う場合 |
「品質管理」「CAD」「エンジニア」という職種名だけでは判断されません。入管審査では、実際の仕事内容、専門性、業務量、本人の専攻や経験との関連性が確認されます。
技人国人材には、同じ仕事を担当する日本人と同等額以上の報酬を支払う必要があります。
外国人だからという理由で給与を下げたり、求人票に記載した条件と異なる仕事を任せたりしてはいけません。
基本給、各種手当、賞与、昇給、試用期間、勤務地、転勤、勤務時間などを明確にし、本人が理解できるように説明します。
国内転職の場合でも、仕事内容が変わる場合は、在留資格上の適合性を確認する必要があります。
必要に応じて就労資格証明書の交付申請を検討し、次回の在留期間更新時に仕事内容と在留資格が合わないと判断されるリスクを減らします。
採用企業は、雇用契約書だけでなく、職務内容を具体的に説明できる資料、組織図、採用理由、本人の学歴・職歴との関連性を整理しておくことが重要です。
正社員採用の利点と面接で確認すべきポイント
技人国人材は、必ず正社員でなければ採用できないわけではありません。派遣や契約社員として働くことが認められる場合もあります。
しかし、技術承継、中核人材の育成、長期的な改善活動を目的とする場合は、自社の正社員として直接採用する利点があります。
正社員として直接採用する主な利点
- ・自社製品や設備に関する知識を継続的に蓄積してもらえる
- ・設計基準、品質基準、顧客要望を長期的に理解してもらえる
- ・熟練社員から若手技術者へ技術を承継しやすい
- ・改善提案や新製品開発へ継続的に参加してもらえる
- ・昇給、役職、資格取得などのキャリアを示しやすい
- ・外国人社員を将来のリーダー候補として育成できる
- ・本人にも雇用と生活の見通しを示しやすい
派遣人材は、繁忙期への対応や期間限定の業務などで有効な場合があります。一方、製品知識や独自技術を長期間かけて身につけてもらう職種では、直接雇用の方が人材育成と組織への定着を進めやすい場合があります。
重要なのは、雇用形態だけで定着を期待するのではなく、仕事内容、教育、評価、キャリアを一体として整えることです。
面接では日本語能力試験の級だけで判断しない
日本語能力試験のN1やN2を持っていても、設計変更の理由を説明することや、製造現場の異常を報告することが得意とは限りません。
反対に、日本語資格がN3でも、同じ業界で長く働き、専門用語や報告方法を身につけている人材もいます。
面接では、資格の級だけでなく、実際の仕事に必要な日本語力を確認しましょう。
面接で確認したい日本語力
- ・過去の仕事内容を順序立てて説明できるか
- ・担当した製品や設備の特徴を説明できるか
- ・図面変更や不具合の理由を説明できるか
- ・分からない言葉を質問できるか
- ・納期遅延や作業ミスを上司へ報告できるか
- ・メールや簡単な報告書を作成できるか
- ・安全上の注意や禁止事項を理解できるか
面接で確認したい実務経験
- ・使用経験のあるCADや設計ソフト
- ・2Dと3Dのどちらを使用していたか
- ・担当した製品、部品、設備の種類
- ・新規設計、変更設計、トレースのどこまで担当したか
- ・一人で担当した範囲と上司の指示で担当した範囲
- ・不具合や設計変更へどのように対応したか
- ・顧客や他部署との打ち合わせ経験
- ・部下や後輩を指導した経験
「CADが使えますか」「設計経験はありますか」という質問だけでは、実力を判断できません。
過去に作成した図面や担当した製品について、守秘義務に配慮しながら説明してもらい、実務試験や適性確認を組み合わせる方法が有効です。
在留資格と転職条件も確認する
- ・現在の在留資格と在留期限
- ・現在または前職で担当していた仕事内容
- ・卒業した学校、学部、学科、専攻科目
- ・日本国内での転職回数と転職理由
- ・勤務地への通勤方法と転居の可否
- ・希望する仕事内容と将来のキャリア
- ・入社可能日と退職手続の状況
面接で在留資格を確認する目的は、国籍によって採否を決めることではありません。予定する仕事内容に適法に従事できるかを確認するためです。
外国人技術者の面接では、「日本語が話せるか」だけでなく、「どの仕事をどこまで任せられるか」「専攻と仕事が合っているか」「入社後に成長できるか」を確認することが重要です。
静岡県東部で、CAD、機械設計、ITなどを担う外国人技術者をお探しの企業様は、外国人エンジニアの採用相談フォームよりお問い合わせください。
まとめ|外国人技術者採用は仕事内容の設計から始める
静岡県では、外国人労働者の36.7%が製造業で働いています。専門的・技術的分野の外国人労働者は2万230人まで増え、技人国人材も9399人に達しました。
製造業で働く技人国人材は3517人となっており、外国人技術者は県内製造業を支える現実的な採用対象です。
ただし、人手不足だからという理由だけで外国人を採用してはいけません。
技能実習、特定技能、技人国では制度の目的と担当できる仕事が異なります。製造ラインを担う人材と、設計やITを担う専門人材は、同じ方法では採用できません。
技人国人材を採用する場合は、次の項目を確認する必要があります。
- ・入社後に任せる専門業務
- ・本人の学歴、専攻、履修科目
- ・過去の職務経験と担当範囲
- ・実務で必要な日本語力
- ・使用できるCADや開発環境
- ・日本人と同等額以上の給与
- ・在留資格と在留期限
- ・採用後の教育とキャリア
最初に仕事内容を明確にし、その仕事に合う学歴、経験、日本語力、在留資格を持つ人材を探すことが、適正採用と長期定着につながります。
株式会社SAITORAIでは、静岡県東部を中心に、日本国内に在留するベトナム人をはじめとした東南アジア出身の技術・人文知識・国際業務の外国人材をご紹介しています。
CADエンジニア、機械設計エンジニア、業務系システムエンジニア、WEB・オープン・アプリ開発、サーバー・ネットワークエンジニアなど、求人内容と候補者の職務経験、日本語力、学歴、在留資格を確認したうえでご紹介します。
なお、製造ラインの組立、加工、検査、梱包などを主業務とする人材、技能実習生、特定技能人材の紹介は行っておりません。専門知識や技術を生かして働く技人国人材の正社員採用についてご相談ください。
CAD、機械設計、IT、社内システムなど、
専門業務を担う国内在留の技人国人材をご紹介します。
求人内容と候補者の経験を確認し、無理なマッチングは行いません。
出典: 静岡労働局「静岡県の外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和7年10月末現在)」
出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について」
出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務と特定技能の違いについて」
厚生労働省・出入国在留管理庁「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」
本記事は2026年7月10日時点の公表情報を基に作成しています。在留資格の許可や更新は、実際の仕事内容、業務量、本人の学歴、職務経験、雇用条件、企業の状況などを基に個別に審査されます。

