小さな会社でも外国人材は採用できる|静岡県東部の中小企業が準備すべきこと
「外国人採用は、大企業や海外展開している会社が行うもの」と考えていないでしょうか。静岡県内で外国人を雇用する事業所のうち、64.7%は従業員30人未満です。外国人雇用は、すでに小規模な事業所にも広がっています。ただし、会社が小さくても簡単に採用できるという意味ではありません。任せる仕事内容、給与、昇給基準、在留資格、教育担当者、社内ルールを明確にすることが必要です。本記事では、静岡県東部の中小企業が外国人材から選ばれ、採用後の定着につなげるために準備すべきことを解説します。
- ・静岡県内で外国人を雇用する事業所の64.7%は従業員30人未満です。
- ・30人未満の事業所で働く外国人労働者も3万1917人に達しています。
- ・会社の規模だけで外国人採用の可否が決まるわけではありません。
- ・中小企業は、経営者との距離の近さや幅広い仕事を経験できる環境を強みにできます。
- ・採用前に仕事内容、給与、評価、教育、相談、安全、在留資格を整理することが重要です。
中小企業でも外国人採用は可能|30人未満が64.7%
静岡労働局が公表した外国人雇用状況によると、2025年10月末時点で、静岡県内において外国人を雇用する事業所は1万967所あります。
事業所規模別では、従業員30人未満が7092所で最も多く、外国人雇用事業所全体の64.7%を占めています。
| 事業所規模 | 外国人雇用事業所数 | 全事業所に占める割合 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 30人未満 | 7092所 | 64.7% | 8.8%増 |
| 30人から99人 | 2363所 | 21.5% | 4.0%増 |
| 100人から499人 | 1186所 | 10.8% | 3.6%増 |
| 500人以上 | 268所 | 2.4% | 1.1%増 |
| その他 | 58所 | 0.5% | - |
30人未満の事業所で働く外国人労働者は3万1917人で、静岡県内の外国人労働者全体の35.9%を占めています。
外国人を雇用する事業所の数だけでなく、実際に働く人数を見ても、小規模な職場が外国人雇用の大きな受け皿になっていることが分かります。
64.7%は「企業数」ではなく「事業所数」の割合です。また、従業員30人未満という区分は、静岡労働局の外国人雇用統計における事業所規模であり、中小企業基本法上の中小企業の定義とは一致しない場合があります。
会社の規模だけで採用の可否は決まらない
外国人を採用するために、海外拠点や専門の人事部を持つことが必須というわけではありません。
小規模な企業でも、次の条件を整えれば外国人材を採用できます。
- ・本人の在留資格で担当できる仕事を用意する
- ・仕事内容と責任範囲を具体的に説明する
- ・日本人社員と公平な給与と評価を設定する
- ・仕事を教える担当者を決める
- ・困ったときに相談できる相手を決める
- ・安全や勤怠に関するルールを分かりやすく伝える
反対に、従業員数が多い企業であっても、入社後の仕事が求人票と異なる、相談相手がいない、評価基準が曖昧という状態では、人材は定着しません。
外国人採用を左右するのは、会社の大きさより、任せる仕事と受け入れ体制を具体的に示せるかどうかです。
大企業にはない強み|経営者との距離を採用力に変える
中小企業が大企業と同じ知名度、給与水準、福利厚生の数で競争することは簡単ではありません。
しかし、中小企業には、組織が小さいからこそ生かせる採用上の強みがあります。
社長や責任者が仕事の魅力を直接伝えられる
中小企業では、社長や現場責任者が採用面接へ参加し、候補者へ直接、採用理由や将来の役割を説明できる場合があります。
候補者にとって、次の内容を意思決定者から聞けることは安心材料になります。
- ・なぜ外国人材を採用するのか
- ・本人の経験や技術のどこを評価しているのか
- ・入社後にどのような仕事を任せたいのか
- ・どのような技術や知識を身につけられるのか
- ・3年後や5年後にどのような役割を期待しているのか
- ・改善提案や新しい意見を受け入れる会社か
「人手が足りないから来てほしい」と伝えるだけでは、長期的な魅力にはなりません。
本人の経験を自社でどのように生かせるのかを具体的に説明することが重要です。
本人の成果や成長を把握しやすい
組織の階層が少ない会社では、社員が行った改善、設計変更、顧客対応、業務効率化などの成果を、経営者や管理職が把握しやすい利点があります。
外国人社員にとっても、自分の仕事が会社にどのような影響を与えたのかを実感しやすくなります。
日常的に声を掛けられる距離感は、問題の早期発見にも役立ちます。
ただし、経営者との距離が近いだけで、人材が定着するわけではありません。
社長の感覚やその日の印象だけで評価が変わる状態では、外国人社員だけでなく、日本人社員も何をすれば昇給できるのか分かりません。
社員一人ひとりを見られるという中小企業の強みを生かすには、評価と昇給の基準を言葉にする必要があります。
幅広い仕事を経験できる可能性がある
中小企業では、担当範囲が細かく分かれていないため、一人の社員が複数の工程や業務に関わることがあります。
例えば、機械設計担当者が顧客との打ち合わせ、図面作成、製造部門との調整、試作品の評価まで経験できる会社もあります。
幅広い経験を積みたい外国人材にとっては、大企業にはない魅力になる可能性があります。
一方、「少人数だから何でもやってもらう」という説明では、入社後のミスマッチにつながります。
主業務、補助的に行う業務、将来担当する可能性がある業務を分けて説明しましょう。
仕事内容と昇給基準を明確にする
外国人材は、「外国人歓迎」「アットホームな職場」という言葉だけで応募先を決めるわけではありません。
特に日本国内ですでに働いている外国人材は、日本企業での勤務経験があり、複数企業の求人条件を比較しています。
求人票で明確にしたい項目
- ・入社後に担当する主な仕事内容
- ・補助的に担当する可能性がある仕事
- ・配属部署と教育担当者
- ・基本給、固定手当、変動手当
- ・賞与の有無と過去の支給実績
- ・昇給の時期と評価方法
- ・残業時間と交替勤務の有無
- ・勤務地、転勤、出張の可能性
- ・試用期間中と本採用後の条件
- ・通勤方法、駐車場、住宅支援
「会社規定による」「能力に応じて昇給」「幅広い業務を担当」といった表現だけでは、候補者が入社後の働き方を想像できません。
すべてを固定する必要はありませんが、現時点で決まっている条件や、判断方法を具体的に説明しましょう。
技人国人材は専門業務を明確にする
株式会社SAITORAIが主に扱う在留資格「技術・人文知識・国際業務」の人材を採用する場合は、候補者の学歴、専攻、職務経験と、入社後に担当する専門業務との関連性が重要です。
静岡県東部の企業で対象になり得る仕事には、次のようなものがあります。
- ・機械設計、電気・電子設計
- ・CADによる図面作成や設計変更
- ・生産技術、工程設計、設備導入
- ・専門的な品質データ分析や品質保証
- ・業務系システムの設計、開発、保守
- ・WEB・アプリ開発
- ・サーバー、ネットワークの設計・運用
- ・通訳、翻訳、海外営業支援
製造ラインの組立、加工、検査、梱包、仕分けなどを主業務とする場合は、一般的に技人国の対象にはなりません。
「エンジニア」「CAD」「品質管理」という職種名だけで、技人国の対象になるわけではありません。実際の仕事内容、専門性、本人の専攻や職務経験との関連性によって個別に判断されます。
昇給基準は行動と成果に分けて示す
外国人社員だけに特別な評価制度を用意する必要はありません。
日本人社員にも共通する評価項目を明確にし、本人が理解できるように説明することが大切です。
| 評価項目 | 具体例 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 専門技術 | 図面作成、設計、開発、品質分析などを担当できる | 担当実績、技能確認、上司評価 |
| 品質 | ミスや手戻りを減らし、決められた基準を守れる | 不良率、修正回数、確認記録 |
| 納期 | 進捗を管理し、遅れる可能性を早めに報告できる | 納期実績、報告内容 |
| 日本語・報告 | 指示を確認し、異常や問題を正確に報告できる | 面談、報告書、日常業務 |
| 改善 | 作業方法、設計、品質について改善を提案できる | 提案件数、改善効果 |
| 教育 | 新人や後輩へ業務を教えられる | 教育実績、習熟状況 |
評価基準を文章にすることで、外国人社員だけでなく、日本人社員にとっても昇給や昇進への道筋が分かりやすくなります。
本人が理解できる方法で労働条件を説明する
労働契約を結ぶ際は、賃金、労働時間、休日、就業場所などの主要な労働条件を書面等で明示する必要があります。
外国人社員に対しては、やさしい日本語、多言語の資料、図表などを使い、本人が理解できる方法で説明することが重要です。
特に給与は、総支給額だけでなく、税金、社会保険料、雇用保険料、社宅費などが控除された後の手取り額も説明しましょう。
求人票、労働条件通知書、雇用契約書、実際の勤務条件が一致しているかを確認してください。
外国人社員一人だけを孤立させない工夫
初めて外国人材を採用する中小企業では、社内で外国人社員が一人だけになる場合があります。
一人であること自体が問題なのではありません。
仕事で分からないことがあっても質問できず、生活や人間関係の悩みも相談できない状態が、孤立や早期離職につながります。
教育担当者と相談担当者を分ける
一人の上司が、仕事の教育、評価、生活相談、在留資格の確認をすべて担当すると、上司の負担が大きくなります。
外国人社員にとっても、自分を評価する上司には、生活や人間関係の悩みを話しにくい場合があります。
少人数の会社でも、可能な範囲で次の役割を決めましょう。
- ・仕事内容を教える教育担当者
- ・勤務状況や成果を確認する直属の上司
- ・生活や人間関係について相談できる担当者
- ・在留期限や雇用手続を確認する担当者
- ・緊急時に連絡を受ける責任者
従業員数が少なく、完全に役割を分けられない場合でも、相談先を二人以上示すだけで、問題を抱え込む危険を減らせます。
入社後の定期面談を予定に入れる
問題が起きたときだけ面談するのではなく、入社時点で面談日を決めておきます。
- ・入社1週間後
- ・入社1か月後
- ・入社3か月後
- ・入社6か月後
- ・以降は半年ごと
面談では、「困っていることはありますか」とだけ聞くのではなく、具体的な質問を用意します。
- ・仕事内容は面接時の説明と一致しているか
- ・指示を理解できない場面はないか
- ・質問しやすい相手がいるか
- ・残業や休日の申請方法を理解しているか
- ・職場で不公平だと感じることはないか
- ・通勤や住居で困っていることはないか
- ・今後身につけたい技術や担当したい仕事はあるか
外国人社員へ通訳や相談を押し付けない
二人目以降の外国人社員を採用した際、先に働いている外国人社員へ、通訳、生活相談、新人教育をすべて任せてしまう会社があります。
同じ言語を話せることは強みですが、本来の仕事に加えて負担を背負わせれば、本人の不満や離職につながります。
通訳や新人支援を正式に任せる場合は、担当業務として位置付け、業務時間、評価、役職、手当へ反映する必要があります。
外国人社員を孤立させないために必要なのは、同じ国籍の社員を増やすことだけではありません。質問できる相手と、会社へ意見を伝えられる仕組みを用意することです。
採用前に整えるべき社内ルール
外国人社員を採用してからルールを考えると、本人だけでなく、受け入れる日本人社員も混乱します。
採用前に最低限の社内ルールを整理し、誰が説明するかまで決めておきましょう。
採用時には在留カードの原本を目視し、在留資格、就労制限の有無、在留期限を確認します。技人国人材を採用する場合は、本人の学歴・職務経験と、入社後に任せる専門業務との関連性も確認します。
遅刻、欠勤、早退、残業、有給休暇、休日出勤について、誰へ、いつまでに、どの方法で連絡するかを明確にします。
異常、不良、事故、納期遅延、顧客からの苦情など、本人だけで判断せず、上司へ報告する場面を具体的に示します。
機械、化学物質、保護具、立入禁止区域、緊急停止などについて、写真、動画、実演、やさしい日本語などを使って説明します。
厚生労働省の外国人雇用管理指針でも、安全衛生教育について、母国語や視聴覚教材などを用い、外国人労働者が内容を理解できる方法で行うことが示されています。
何を評価し、どのような技術や役割を身につけると昇給できるのかを、日本人社員と共通の基準で説明します。
国籍、言語、宗教、文化などを理由とする差別的な発言や嫌がらせを認めない方針を共有し、相談窓口を示します。
外国人労働者を雇い入れたとき、または離職したときは、在留資格や在留期間などを確認し、外国人雇用状況の届出を行います。
日本人社員にも受け入れ方を説明する
外国人社員本人だけに研修を行っても、受け入れる側が準備できていなければ定着しません。
日本人社員にも、次の内容を説明しましょう。
- ・外国人材を採用する理由と任せる仕事内容
- ・在留資格によって担当できる仕事が異なること
- ・短く具体的な日本語で指示する方法
- ・理解しているかを復唱や実演で確認すること
- ・本人の前で国籍による決め付けをしないこと
- ・分からないことを質問しても責めないこと
- ・問題を教育担当者一人へ集中させないこと
社内ルールを整理することは、外国人社員だけのためではありません。
指示、教育、評価、相談の方法が明確になることで、日本人の新入社員や中途採用者も働きやすくなります。
県の支援制度も活用できる
静岡県では、外国人材の受け入れや定着に関する企業向け相談、雇用環境診断、社内体制整備の支援などを実施しています。
2026年度には、外国人雇用の経験がない企業や経験が少ない企業を対象に、研修、受け入れ計画の策定、専門家による伴走支援なども行われています。
自社だけで制度や生活支援のすべてを抱え込まず、行政、専門家、人材紹介会社など、外部の支援先を活用することが重要です。
静岡県東部で、CAD、機械設計、IT、通訳・翻訳などを担う外国人材をお探しの企業様は、技人国人材の採用相談フォームよりお問い合わせください。
まとめ|会社の規模より受け入れ準備が採用を左右する
静岡県内で外国人を雇用する事業所の64.7%は、従業員30人未満です。
外国人採用は、大企業や海外拠点を持つ会社だけが行うものではありません。
中小企業には、経営者との距離が近く、本人の経験や成果を把握しやすいという強みがあります。
一方、少人数だからこそ、仕事内容や評価が曖昧になったり、教育や相談が一人の担当者へ集中したりする危険もあります。
採用前には、次の項目を整理しましょう。
- ・在留資格に合う仕事内容
- ・求人票と実際の仕事の一致
- ・基本給、手当、賞与、昇給基準
- ・教育担当者と相談担当者
- ・勤怠、休暇、残業の申請方法
- ・安全教育と緊急時の連絡方法
- ・定期面談と将来のキャリア
- ・日本人社員を含めた社内ルールの共有
外国人材から選ばれるために必要なのは、会社を実際より大きく見せることではありません。任せる仕事、評価方法、将来の役割を誠実に示し、安心して働ける仕組みを整えることです。
株式会社SAITORAIでは、静岡県東部の中小企業へ、日本国内に在留するベトナム人をはじめとした東南アジア出身の技術・人文知識・国際業務の外国人材をご紹介しています。
CADエンジニア、機械設計エンジニア、業務系システムエンジニア、WEB・アプリ開発、サーバー・ネットワークエンジニア、通訳・翻訳など、求人内容と候補者の職務経験、日本語力、学歴、在留資格を確認したうえでご紹介します。
なお、製造ライン、検査、梱包、物流倉庫、客室清掃などの現場業務を主とする人材や、技能実習、特定技能人材の紹介は行っておりません。
中小企業の外国人採用に関するよくある質問
採用できます。会社の最低従業員数が一律に定められているわけではありません。ただし、仕事内容に合う在留資格、適正な労働条件、教育担当者、相談体制を整える必要があります。
一人であること自体は問題ではありません。質問できる相手がいない状態や、仕事・生活の相談先が一人に限定されている状態を避け、複数の相談先と定期面談を用意することが重要です。
外国人だけの給与制度を設ける必要はありません。国籍ではなく、仕事内容、能力、経験、成果に基づく日本人社員と共通の公平な基準を用意します。
在留資格と在留期限、学歴・職務経験、担当予定の仕事、日本語力、給与、勤務時間、通勤、住居、入社可能日を確認します。技人国人材では、専攻や職務経験と仕事内容との関連性も重要です。
勤怠と休暇の申請方法、報告・連絡・相談の基準、安全上のルール、評価と昇給、相談窓口、緊急時の連絡方法を優先して整えます。
会社の規模だけで、外国人採用を諦める必要はありません。
CAD、機械設計、IT、通訳・翻訳などを担う、
国内在留の技人国人材をご紹介します。
出典: 静岡労働局「静岡県の外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和7年10月末現在)」
厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」
本記事は2026年7月28日時点の公表情報を基に作成しています。外国人を雇用する際は、本人の在留資格、仕事内容、学歴、職務経験、雇用条件などを個別に確認する必要があります。

