29.4%急増|静岡県の医療・福祉、宿泊・飲食で外国人採用が広がる理由
静岡県では、製造業だけでなく、医療・福祉、宿泊・飲食といった人手不足の影響を受けやすい業界でも外国人雇用が広がっています。2025年10月末時点で、医療・福祉分野の外国人労働者は前年比29.4%増、宿泊業・飲食サービス業は前年比18.8%増となりました。ただし、外国人労働者が増えている業界だからといって、どの在留資格でも自由に採用できるわけではありません。介護、接客、調理、客室清掃、通訳、企画、ITなど、実際に任せる業務によって必要な在留資格は異なります。本記事では、静岡県の最新統計と観光動向を基に、外国人雇用が増えている背景と、採用前に企業が確認すべきポイントを解説します。
医療・福祉は29.4%増|宿泊・飲食も18.8%増
静岡労働局が公表した「外国人雇用状況」の届出状況によると、2025年10月末時点の静岡県内の外国人労働者数は8万8968人です。
産業別では製造業が3万2694人で最も多いものの、対前年増加率を見ると、医療・福祉が29.4%増で最も高く、宿泊業・飲食サービス業が18.8%増で続いています。
| 産業 | 外国人労働者数 | 県内全体に占める割合 | 前年比 | 外国人雇用事業所数 |
|---|---|---|---|---|
| 医療・福祉 | 3634人 | 4.1% | 29.4%増 | 677所 |
| 宿泊業・飲食サービス業 | 7018人 | 7.9% | 18.8%増 | 1532所 |
| 製造業 | 3万2694人 | 36.7% | - | 2940所 |
医療・福祉と宿泊・飲食を合わせると、県内で1万652人の外国人労働者が働いています。製造業が中心だった静岡県の外国人雇用が、生活を支える福祉サービスや観光・飲食の分野にも広がっていることが分かります。
外国人を雇用する事業所数では、宿泊業・飲食サービス業が1532所で、県内の外国人雇用事業所全体の14.0%を占めています。医療・福祉も677所まで増えており、外国人雇用は一部の大規模法人だけのものではありません。
注目すべきなのは、外国人労働者の人数だけではなく、受け入れる事業所そのものが県内各地に広がっていることです。今後は、人材を採用できるかだけでなく、適法に受け入れ、長く定着してもらえるかが経営上の重要な差になります。
高齢化と観光需要|外国人雇用が広がる背景
医療・福祉、宿泊・飲食で外国人労働者が増えている背景として考えられるのが、慢性的な採用難と、サービスを必要とする人の増加です。
医療・福祉|利用者を支える人材の確保が課題
医療・福祉分野では、介護施設、障害福祉施設、病院、訪問サービスなど、地域生活に欠かせない事業が多数あります。
一方で、夜勤、早朝勤務、身体的な負担、資格の必要性などから、採用が難しい職種もあります。求人を出しても応募が集まらず、職員一人当たりの負担が増えている事業所も少なくありません。
外国人材の受け入れは、こうした人手不足に対する選択肢の一つです。ただし、介護業務、看護業務、医療行為、事務、通訳では、それぞれ必要な資格や在留資格が異なります。
宿泊・飲食|伊豆・熱海・浜松でも人材需要が続く
静岡県が公表した2024年度の観光統計によると、県内の宿泊客数は約1950万人で、前年度から4.4%増加しました。県内すべての地域で前年度を上回っています。
地域別では、伊豆地域の宿泊客数が約1049万人と県内で最も多く、熱海市だけでも約307万人となっています。浜松市の宿泊客数も約195万人に達しており、県東部だけでなく、西部でも宿泊サービスを支える人材が必要です。
ホテル、旅館、飲食店では、土日祝日、早朝、夜間、繁忙期などに人員を確保する必要があります。また、訪日外国人旅行者への対応、多言語での案内、海外向けの情報発信、予約システムの運用など、従来とは異なる能力も求められています。
そのため、客室清掃、配膳、調理などの現場業務だけでなく、通訳、海外顧客対応、企画、広報、マーケティング、ITなどの専門業務でも、外国人材を検討する企業が増える可能性があります。
同じ業界でも在留資格によって任せられる仕事は異なる
外国人採用で最も注意したいのが、業界名だけで採用できる在留資格を判断しないことです。
医療・福祉の会社だから在留資格「介護」が必要、ホテルだから技人国ビザで採用できる、飲食店だから特定技能でなければならないと単純に決めることはできません。
在留資格は、会社の業種ではなく、本人が実際に担当する業務、学歴、専攻、職務経験などを基に判断されます。
介護業務を担当する場合
介護施設などで、入浴、食事、排せつの介助や介護の指導を行う場合は、在留資格「介護」、特定技能「介護」、EPAに基づく特定活動など、介護業務に対応した在留資格が必要です。
在留資格「介護」は、介護福祉士の資格を持つ外国人が、介護または介護の指導を行うための在留資格です。
一方、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で、介護業務そのものを主な仕事として担当させることはできません。
医療・福祉法人で技人国人材を採用できる可能性がある仕事
医療法人や福祉法人であっても、介護や医療行為ではなく、専門知識を必要とする次のような業務であれば、技人国ビザ人材を採用できる可能性があります。
- 社内システムの開発・運用
- 情報セキュリティ管理
- 外国人利用者や関係者への通訳・翻訳
- 海外事業や外国人向けサービスの企画
- 経営企画やマーケティング
- 専門知識を必要とする経理・人事業務
ただし、一般的な受付、データ入力、清掃、送迎補助などを主な業務とする場合は、技人国ビザの対象にならない可能性があります。
ホテル・旅館で技人国人材を採用する場合
ホテルや旅館では、専門性が認められるフロント業務、企画、広報、海外営業、マーケティング、通訳・翻訳、予約システム管理などが、技人国ビザの対象になる可能性があります。
一方で、客室清掃、ベッドメイク、荷物運搬、配膳、皿洗いなどを主な仕事として担当させることは、原則として技人国ビザの活動には該当しません。
入社時の研修として一時的に現場業務を経験する場合でも、日本人社員にも同様の研修を行っていること、研修期間や将来の専門業務が明確であることなどが必要です。
飲食店で技人国人材を採用する場合
飲食店での食材の仕込み、調理、盛り付け、注文受付、配膳、片付け、会計などは、技人国ビザで主業務として担当することは認められていません。
店舗管理業務については、店舗の規模、具体的な仕事内容、本人の経歴、将来のキャリアなどを総合的に考慮して個別に判断されます。
飲食関連企業の本部で行う経営分析、海外展開、商品企画、マーケティング、システム開発など、専門知識を必要とする業務であれば、技人国ビザに該当する可能性があります。
「外国人を接客担当として採用する」「通訳も兼ねてもらう」という説明だけでは、技人国ビザの要件を満たさないことがあります。実際には接客、清掃、調理などが大半を占める場合、職種名を通訳や企画に変えても適正な採用にはなりません。
外国人採用で企業が準備すべき6つのポイント
医療・福祉、宿泊・飲食は、人と直接関わる機会が多い業界です。採用人数を確保するだけでなく、安全、接客品質、利用者との信頼関係を守れる受け入れ体制が求められます。
1.任せる仕事内容を具体的にする
最初に、外国人材を採用することから考えるのではなく、どの仕事に人が足りていないのかを明確にします。
介護、接客、清掃、調理、通訳、企画、IT、海外営業など、担当業務を分け、1日の業務時間のうち何をどの程度行うのかまで整理します。
2.在留資格と仕事内容の適合性を確認する
在留カードの在留資格、在留期限、就労制限を確認し、予定している仕事内容と一致しているかを確認します。
技人国ビザで採用する場合は、本人の学歴、専攻、職務経験と、入社後に担当する専門業務との関連性も重要です。
3.日本語力を現場に合わせて確認する
医療・福祉では、利用者の体調変化、服薬、安全上の注意、事故時の報告など、正確な意思疎通が必要です。
宿泊・飲食では、予約内容、アレルギー、クレーム、災害時の案内など、状況に応じた対応が求められます。
日本語能力試験の級だけではなく、実際の業務を想定した面接で確認することが重要です。
4.勤務時間と労働条件を明確に伝える
夜勤、早朝勤務、土日勤務、繁忙期の残業、休日、手当、寮費、転勤などを入社前に明確に説明します。
採用を急ぐあまり、厳しい条件を曖昧にすると、入社後の不満や早期退職につながります。
5.教育担当者と相談先を決める
誰が仕事を教えるのか、困ったときに誰へ相談するのか、誰が評価するのかを決めておきます。
口頭説明だけでなく、写真、図、動画、チェックリストなどを使った業務マニュアルを用意すると、指導内容のばらつきを減らせます。
6.外国人だけにルールを曖昧にしない
外国人だから仕方がないと注意や指導を避けると、本人も正しいルールを学べず、周囲の日本人社員にも不公平感が生まれます。
職場の規則、安全基準、接客基準を分かりやすく説明し、守るべきことは国籍に関係なく守ってもらう姿勢が重要です。
人手不足の業界ほど、採用を急ぐ前に仕事内容と在留資格を整理する必要があります。採用後に任せられない仕事だったと判明すれば、企業と外国人材の双方に大きな負担がかかります。
医療法人、福祉法人、宿泊施設、飲食関連企業で、IT、通訳・翻訳、海外対応、企画、マーケティングなどの専門職を担う外国人材をお探しの場合は、技人国ビザ人材の採用相談フォームよりお問い合わせください。
まとめ|人手不足業界ほど在留資格と仕事の適合が重要
静岡県では、医療・福祉分野の外国人労働者が前年比29.4%増、宿泊業・飲食サービス業が18.8%増となりました。
医療・福祉では、地域の高齢者や利用者を支える人材が必要です。宿泊・飲食では、伊豆、熱海、浜松などの観光地を中心に、サービスを支える人材や海外対応のできる人材が求められています。
一方で、人手不足だからという理由だけで外国人を採用してはいけません。介護、医療、接客、調理、清掃、企画、通訳、ITでは、必要な在留資格が異なります。
採用前には、在留資格、仕事内容、学歴、職務経験、日本語力、労働条件、受け入れ体制を確認する必要があります。
株式会社SAITORAIでは、日本国内に在留するベトナム人をはじめとした東南アジア出身の技術・人文知識・国際業務の外国人材を中心に、正社員採用を検討する企業様への人材紹介を行っています。
医療・福祉法人、宿泊施設、飲食関連企業における、IT、情報システム、通訳・翻訳、海外対応、企画、営業支援、マーケティングなどの専門職について、求人内容と候補者の経験を確認したうえでご紹介します。
なお、介護職、看護職、客室清掃、配膳、調理など、技人国ビザに該当しない現場職の人材紹介は行っておりません。自社の求人が技人国ビザの対象になるか分からない場合も、仕事内容を整理したうえでご相談ください。
医療・福祉、宿泊・飲食関連企業における、
IT、通訳、海外対応、企画、営業支援などの技人国人材をご紹介します。
求人内容が在留資格に合うか分からない段階でもご相談いただけます。
出典: 静岡労働局「静岡県の外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和7年10月末現在)」
出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」
出入国在留管理庁「飲食店において外国人が就労する場合の在留資格について」
掲載している外国人労働者数は2025年10月末時点、観光統計は2024年度の調査結果です。在留資格の許可や更新は、個別の仕事内容、学歴、職務経験、雇用条件などを基に審査されます。

