宿泊業の採用が変わる|熱海市でネパール人が最多となった背景と定着策
熱海市で暮らす外国人は、2025年3月末時点で40か国、1299人となりました。国籍別ではネパール人が372人で最も多く、ベトナム人216人、中国人156人、ミャンマー人108人と続きます。熱海市は、2023年以降に外国人の生産年齢人口が急増した背景について、宿泊施設などで働く外国人の転入増が影響していると分析しています。一方、外国人を採用すれば人手不足が解決するわけではありません。接客日本語、勤務時間、寮生活、相談体制、在留資格、将来のキャリアまで会社として整えなければ、早期離職や現場の負担につながります。本記事では、熱海市の外国人住民と宿泊業の関係を確認し、ホテル・旅館が採用と定着のために準備すべき社内体制を解説します。
- ・熱海市の外国人住民は2025年3月末時点で1299人です。
- ・国籍別ではネパール人が372人で最多です。
- ・市は外国人増加の背景として、宿泊施設などで働く外国人の転入を挙げています。
- ・ただし、ネパール人が最多となった理由を国籍別に断定できる公的資料はありません。
- ・宿泊事業者には、接客教育、勤務条件、寮生活、相談体制、リーダー育成まで含めた受け入れ設計が必要です。
熱海市の外国人住民は1299人|ネパール人が最多
熱海市の「第三期まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」によると、2025年3月末時点で市内に暮らす外国人は、40か国、1299人です。
国籍別では、ネパール人が372人で最多となっています。外国人住民全体に占める割合は約28.6%で、4人に1人を上回る規模です。
| 国籍・地域 | 人数 | 外国人住民に占める割合 |
|---|---|---|
| ネパール | 372人 | 約28.6% |
| ベトナム | 216人 | 約16.6% |
| 中国 | 156人 | 約12.0% |
| ミャンマー | 108人 | 約8.3% |
| フィリピン | 98人 | 約7.5% |
| 韓国 | 92人 | 約7.1% |
| その他 | 257人 | 約19.8% |
2017年から約3.1倍に増加
熱海市の外国人住民は、2017年の416人から2025年の1299人へ増えました。8年間で883人増加し、約3.1倍となっています。
総人口に占める外国人の割合も、2017年の1.1%から2025年には3.9%へ上昇しました。
年齢別では、15歳から64歳の生産年齢人口が1125人です。外国人住民全体の約86.6%を占めており、働く世代が中心であることが分かります。
外国人住民数と外国人労働者数は同じではありません。外国人住民には、子ども、学生、配偶者、就労していない家族なども含まれます。外国人住民1299人全員が採用候補者になるという意味ではありません。
なぜ熱海市ではネパール人が多いのか
結論から言うと、熱海市でネパール人が最多となった理由を、国籍別に詳しく説明した公的資料は確認できません。
熱海市の公式資料で確認できるのは、外国人住民全体の増加について、宿泊施設などで働く外国人の転入者数が増えた影響と考えられていることです。
ネパール人が多い背景には、宿泊業や飲食業の雇用需要に加え、すでに地域で暮らす同国出身者から仕事や住居の情報を得られる人的ネットワーク、知人紹介による採用などが関係している可能性があります。
ただし、これらは一般的に考えられる要因であり、熱海市の公表資料だけから断定することはできません。
国籍別の人数は地域の変化を知る参考になりますが、国籍だけで日本語力、接客能力、定着性、仕事への適性を判断してはいけません。
熱海市では約3人に1人が宿泊・飲食関連で働く
熱海市観光基本計画によると、市内事業所で働く従業者は1万7731人です。
このうち、宿泊業・飲食サービス業で働く人は5502人で、全従業者の31.0%を占めています。
| 区分 | 従業者数 | 市内全従業者に占める割合 |
|---|---|---|
| 宿泊業 | 3546人 | 約20.0% |
| 飲食店 | 1812人 | 約10.2% |
| 持ち帰り・配達飲食サービス業 | 144人 | 約0.8% |
| 宿泊業・飲食サービス業合計 | 5502人 | 31.0% |
宿泊業・飲食サービス業の従業者割合は、静岡県の8.2%、全国の8.1%と比べて約4倍です。
熱海市では、ホテル、旅館、飲食店などの観光関連産業が、地域雇用に大きな影響を与えています。生産年齢人口が減少するなか、外国人材の採用が広がることは自然な流れといえます。
ホテル・旅館が外国人を採用する主な理由
- ・早番、遅番、土日祝日を含む勤務の人員を確保したい
- ・フロント、予約管理、海外顧客対応を強化したい
- ・外国人宿泊客への案内や情報発信を改善したい
- ・日本人だけでは採用できない若手人材を確保したい
- ・将来のリーダーや管理職候補を育成したい
ただし、外国人を人手不足の穴埋めとして採用し、入社後の教育を現場へ任せきりにすると、本人と受け入れ部署の双方に負担が集中します。
接客日本語と日常会話は何が違うのか
日常会話ができる外国人でも、ホテルや旅館の接客をすぐに担当できるとは限りません。
日常会話では、自分の希望や身近な出来事を伝えられれば、ある程度コミュニケーションが成立します。
一方、接客日本語では、料金、予約、食事、アレルギー、館内設備、交通、苦情、安全に関する情報を、正確かつ丁寧に伝える力が必要です。
| 場面 | 必要な日本語力 | 教育時の確認点 |
|---|---|---|
| チェックイン | 予約内容、料金、食事時間、館内設備を説明する | 説明後に宿泊客へ確認できるか |
| 電話・予約対応 | 名前、人数、日程、部屋、要望を正確に聞き取る | 聞き取れない場合に復唱や確認ができるか |
| 食事対応 | 料理、食材、アレルギー、提供順を説明する | 自分で判断せず調理担当へ確認できるか |
| 苦情対応 | 相手の話を聞き、謝意を示し、責任者へ引き継ぐ | 抱え込まず速やかに報告できるか |
| 災害対応 | 地震、津波、火災時の避難方法を案内する | 緊急時の定型文と避難経路を理解しているか |
外国人社員への接客教育で必要なこと
- ・チェックインからチェックアウトまでの流れを分解する
- ・場面ごとの定型表現を用意する
- ・写真や図を使った業務マニュアルを作成する
- ・社員同士で接客のロールプレイを行う
- ・理解できなかった場合の質問方法を教える
- ・本人が判断してよい範囲と上司へ報告する範囲を決める
- ・失敗を責めるだけでなく、原因と改善方法を共有する
日本語能力試験のN1やN2を持っていても、接客経験がなければ、宿泊業特有の説明や苦情対応に戸惑うことがあります。
反対に、日本語資格がN3でも、ホテルや旅館での勤務経験があり、定型的な接客や報告を正確に行える人材もいます。
面接では日本語資格だけでなく、予約内容の確認、館内説明、苦情の引き継ぎなど、実際の接客場面を想定して確認することが重要です。
会社全体で接客品質を標準化する
外国人社員だけに接客ミスを防ぐ努力を求めるのではなく、日本人社員を含めて、説明方法や報告手順を統一しましょう。
誰が対応しても、料金、食事、アレルギー、安全に関する案内が変わらない仕組みをつくることで、外国人社員だけでなく、新入社員や短時間勤務者も働きやすくなります。
寮生活・勤務時間・在留資格が定着を左右する
熱海市のホテルや旅館では、早番、遅番、夜間対応、土日祝日勤務など、一般的な事務職とは異なる勤務形態があります。
採用前には、「シフト制です」とだけ伝えるのではなく、始業時刻、終業時刻、休憩、残業、休日、繁忙期の働き方を具体的に説明する必要があります。
勤務時間は具体例を示して説明する
- ・早番、遅番、夜勤の開始時刻と終了時刻
- ・中抜け勤務がある場合の休憩時間と過ごし方
- ・土日祝日や年末年始の勤務
- ・繁忙期に残業が発生する可能性
- ・希望休や有給休暇の申請方法
- ・寮から職場までの通勤方法
面接時の説明と入社後の働き方が大きく異なると、本人の不信感や早期離職につながります。
寮や社宅のルールを書面で示す
寮や社宅を用意する場合は、家賃が安いことだけを説明するのではなく、生活上の条件を具体的に示します。
- ・家賃、光熱費、共益費の負担額
- ・給与から控除する金額と根拠
- ・一部屋当たりの入居人数
- ・浴室、トイレ、台所などの共用範囲
- ・騒音、来客、喫煙、ごみ出しのルール
- ・設備が故障した場合の連絡先
- ・退職や転職時の退去期限
同じ国籍の社員を同じ寮へ入れるだけでは、生活支援とはいえません。生活上の問題を相談できる担当者を決め、問題が大きくなる前に確認する仕組みが必要です。
技人国と特定技能では担当できる仕事が異なる
ホテルや旅館で外国人を採用する場合、本人の在留資格で予定する仕事ができるかを確認しなければなりません。
| 在留資格 | 対象になり得る宿泊業務 | 採用時の注意点 |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 専門的なフロント、予約管理、企画、広報、マーケティング、通訳・翻訳、海外営業支援など | 本人の学歴、専攻、職務経験と仕事内容の関連性が必要です。 |
| 特定技能・宿泊 | フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど | 技能試験、日本語試験、支援計画など、特定技能の要件を満たす必要があります。 |
技人国人材に、客室清掃、皿洗い、荷物運搬、単純な配膳などを主業務として任せることはできません。
研修の一環として現場業務を経験する場合でも、研修期間、目的、配属後の専門業務を明確にする必要があります。
「フロントスタッフ」「国際業務」という職種名だけでは、技人国ビザの対象とは判断されません。実際の仕事内容、業務量、本人の学歴や職務経験を基に個別に審査されます。
外国人リーダーを育成する
外国人社員を長く雇用するためには、いつまでも新人や補助者として扱わず、将来の役割を示すことが重要です。
- ・新しく入社した外国人社員への業務説明
- ・日本人社員と外国人社員の間の情報整理
- ・多言語マニュアルや接客表現の改善
- ・外国人宿泊客からの意見の集約
- ・海外向けの宿泊プランや情報発信
- ・チームリーダーや責任者としての新人教育
ただし、同じ国籍や言語を話せるという理由だけで、通訳や生活相談を無償で追加してはいけません。
担当業務として正式に位置付け、役職、評価、給与、手当に反映することが必要です。
地域の日本語教室も活用する
熱海市では、外国人住民を対象とした日本語教室を開催しています。
2026年度には、日常生活に必要な会話を学び、日本人住民と交流する「熱海にほんご交流ひろば」も設けられています。
企業だけで日本語教育や生活相談のすべてを抱え込まず、市の日本語教室や多文化共生室など、地域の支援先へつなぐことも大切です。
熱海市や静岡県東部で、予約管理、外国人顧客対応、企画、通訳・翻訳などを担う外国人材をお探しの企業様は、技人国人材の採用相談フォームよりお問い合わせください。
まとめ|外国人を採る会社から育てる会社へ
熱海市の外国人住民は、2025年3月末時点で1299人です。国籍別ではネパール人が372人で最も多く、ベトナム人、中国人、ミャンマー人が続きます。
外国人住民数は2017年の416人から約3.1倍に増えました。市は、宿泊施設などで働く外国人の転入増が、外国人の生産年齢人口の増加に影響していると分析しています。
一方、ネパール人が最多となった理由は、熱海市の公表資料だけでは断定できません。
採用では国籍だけを見るのではなく、在留資格、日本語力、接客経験、希望する仕事内容、勤務時間への理解、住居、将来のキャリアを確認する必要があります。
入社後は、次の体制を会社として整えましょう。
- ・接客日本語を教える教育担当者
- ・勤務条件と業務手順を説明するマニュアル
- ・生活や人間関係を相談できる担当者
- ・寮や社宅のルールを示した書面
- ・入社後1か月、3か月、6か月の定期面談
- ・外国人社員がリーダーを目指せる評価制度
外国人社員を一時的な人手不足の補充ではなく、接客、企画、教育、海外対応を担う人材として育てる企業が、今後の採用市場で選ばれます。
株式会社SAITORAIでは、日本国内に在留するベトナム人をはじめとした東南アジア出身の技術・人文知識・国際業務の外国人材を中心に、正社員採用を検討する企業様への人材紹介を行っています。
宿泊業では、専門的なフロント業務、予約管理、通訳・翻訳、外国人顧客対応、海外営業支援、企画、広報など、求人内容と候補者の経験、日本語力、学歴、在留資格を確認したうえでご紹介します。
なお、客室清掃、皿洗い、配膳、調理補助などを主業務とする人材や、特定技能人材の紹介は行っておりません。
専門的なフロント、予約管理、通訳・翻訳、企画、海外対応など、
専門業務を担う国内在留の技人国人材をご紹介します。
求人内容と候補者の経験を確認し、無理なマッチングは行いません。
出典: 熱海市「第三期熱海市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」
出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について」
外国人住民数は住民基本台帳に基づく2025年3月末時点の数値です。産業別従業者数は2021年経済センサスに基づく全従業者の数値であり、外国人だけの人数ではありません。在留資格の許可や更新は、実際の仕事内容、業務量、本人の学歴、職務経験、雇用条件などを基に個別に審査されます。

