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2020年 国内採用トレンドと予測 ~旧来型手法の機能不全~

企業の採用活動をお手伝いする中で、なぜ求人をかけても募集が来ないのか?といった疑問について、ここ数年で起こっている出来事、これからの展望について実体験を含めた考察をまとめたので掲載致します。
現在、大きく分けて3つの原因があります。
その中でもニュースで大きく取り上げられているのは、「労働者数減少」「有効求人倍率高騰」の2点。
しかし、これらの問題は中長期的に見れば大きな問題になりますが、直近で意識すべきことは「旧来型手法の機能不全」です。
求人誌、ウェブ求人媒体という旧来型の手法ではもう応募が得られないのです。
既に集客力が減少、反響が激減しているのにこの数年受注は激増してるのが事実です。




・なぜ応募が来ないのか?
・新卒採用の新たなトレンド
・中途採用のトレンド
・中途採用における有効な手法
・中途採用におけるその他の手法
・まとめ





それでは、なぜ結果が得られないのに受注が激増しているのかというロジックを過去3~4年程度の流れを簡単に振り返りながら紐解いていきましょう。

なぜ募集が来ないのか?

3~4年前からウェブ求人媒体は応募がなくなりつつあり、求人者である経営者や採用担当は高額の採用費を垂れ流すという状況になりました。
すると、求人者はウェブ求人媒体の営業マンに対して激怒します。
叱責され続ける営業マンは疲弊し、どんどん離職していきます。
ウェブ求人媒体、代理店は社員の離職を止めるために対策を施しました。
「とりあえず応募さえあれば求人者は黙るだろう。」ということで一括応募機能(※1)を導入してみました。
つまり応募の嵩増しです。1人30~40件エントリーさせるのです。
エントリー者だって、30件の会社から連絡が来ても全部対応し、面接に行くなんてほぼ不可能です。
自分の応募するつもりすらなかった会社からの連絡なんて基本無視です。
事実として、エントリー数が増えたことだけは間違いありません。
エントリーはあるのに音信不通が多いと感じたことがあれば、この仕掛けが原因です。
しかし、求人者はこれに気付かず、掲載内容や写真、キャッチコピー、労働条件が悪いのではないか?と、自社の問題や社会的問題へ目を向けていきました。
もちろん、有効な掲載内容を思考すること、労働条件の改善等の企業努力は必須ではありますが、私からしてみると上手く問題点のすり替えをされてしまったという目線で見ざるを得ない部分があります。

(※1)一括応募機能・・・「渋谷駅 ホテル」というキーワードで検索すると、条件が近しい求人情報がまとめて出てきて、一括チェックにレ点を打つとほぼ2クリックで数十社エントリー可能な便利機能

現在、効果の下がったウェブ求人媒体の延命期と言われています。
それにもかかわらず、軒並み大手は過去最高益を出しています。逆に求人者は過去最低の採用費を更新し続けています。
既に求人方法を変え、従来型のスタイルを見切っている企業もある一方で依然として変わらぬこの構図の中、追い打ちをかける様にウェブ求人媒体会社は広告宣伝費を削減することによって最高益に見せています。
つまり、旧来型求人媒体はweb上での露出が減り、余計に人が来ない流れになります。
旧来型の求人手法がなくなることも、全く効果がなくなることもないとは考えていますが、時流を掴めていない情報弱者や圧倒的な資金力で人財募集を行う企業を対象に展開するスタイルはまだしばらく続きそうです。

新卒採用の新たなトレンド

旧来型手法の効果が薄れたことや、経団連の就活ルール撤廃(21年卒から廃止)で流れは大きく変わってきています。
就活ルールとは、経団連が定めた企業の採用活動に関するルールのことです。
就活が学生生活や学業の妨げにならないよう、採用活動の日程などを経団連が決め、加盟企業にそれを守るように求めています。
現在の就活ルールでは、大学3年生(卒業・修了年度に入る直前)の3月1日に説明会などの広報が解禁され、その後、大学4年生(卒業・修了年度)の6月1日以降に選考開始。正式な内定日は10月1日以降とされています。
しかし、経団連に加盟しているのは大手企業のみで、外資系企業やベンチャー、中小企業は、ルールにとらわれず早い時期から長期インターンシップを行い、人財の確保、入社直後から即戦力となる為の育成を行っていましたが、
経団連加盟の大手もこの長期インターンシップに参入して来ます。

この長期インターンシップとは半年~2年程度を行います。
これだけの時間がある以上、求職者に隠し事が出来なくなります
現場の雰囲気、実務、上長や先輩社員、全て見られることになります。
合わせて、新卒採用担当者が不要になり、より学生の目線に近い若手のインターン専任社員が配置されることが予想されます。
すでに、意識の高い学生から価値観が変化し、バイトする暇があるなら長期インターンで将来役立つ経験を積んでおくべきという流れが着実に根付いてきています。
大手が長期インターンに注力したタイミングで、大学生バイトは居なくなると見ています。
あるファストフードチェーン店も上記の流れを見越して、計画的な正社員増員に乗り出している様です。

新卒の長期インターンがメインになるということは、首都圏ならば準備していくこと一択ですが、地方の新卒採用はより厳しさを増す一方という深刻な問題が残っています。

中途採用のトレンド

それでは、中途採用について見ていきたいと思います。
人財採用もマーケティング手法の移り変わりと同じ流れで推移して来ています。


【マーケティング手法】
第1世代・・・雑誌、看板などリアル広告
第2世代・・・ウェブのバナー等、期間掲載方
第3世代・・・クリック課金型

【求人手法】
第1世代・・・求人誌、フリーペーパー、新聞
第2世代・・・マイナビ転職など、期間ごとに掲載するウェブ求人媒体
第3世代・・・indeedなど、求人検索エンジン型

CPC(Cost Per Click)課金チャネル(クリックされた分だけ広告費を払う)として代表的なindeedなど検索エンジン型が主流なものの、ウェブマーケティングのスキル必要な分野になってきます。
しかし、個人的にはindeedは2017年までが良い時代だったと感じています。
当時、私は企業の採用担当業務を行っていました。
クリック単価45~65円で求人を行っていましたが、どんどん単価が上がり2018年に入り140円を超えた辺りで撤退しました。
今では260円を超え、殆どの業種で200円台に定着、やや上昇傾向にあります。
google広告やyahooリスティングなどと同じRBT(Real Time Bidding)、入札方式のロジックは理論上単価が上がり続ける様に出来ているため、仕方ない部分もあります。
この単価が安いか高いかの判断は人それぞれですが、参考までに下記の公式に当てはめて考えてみると解りやすいかと思います。


【 応募率=閲覧数×応募数 】

通常、応募率=1%から1.5%と言われているので、
100件の閲覧につき1件のエントリー。

閲覧数を稼げるかがポイントです。


更に、今年になって良くない噂を耳にします。
毎日の様にテレビCMを目にするindeed、こちらの代理店さんが運用代行しますと言って、営業の電話がかかってきた経験はありませんか?
営業マンが期日中にお客さんの予算を使い切らないと儲からないということで、入札単価3,000円など、10倍以上の設定をされることもあるそうです。
本当に信頼できる代理店さんなら別ですが、中にはそうではない代理店もあるそうです。
上記の様な運用代行が横行している限り、際限なくクリック単価は上がり続けるだけですね。
実際にindeedを運用した経験がある方ならお分かりになるかもしれませんが、1週間で1求人あたり5万円以上使うのって意外と難しかったりします。

中途採用における有効な手法

それでは実際にどんな中途採用における手法が有効かというと、正直なところ手軽に行えるものはないというのが私の答えです。
採用は完全にマーケティング化したと見ています。
とにかく閲覧数を増やすことだと考えています。
自社求人サイトをいくつかある求人検索エンジン、googleやyahooのリマーケティング広告、掲載無料の媒体等、大量のチャネルへ出稿し、運用。ひたすら閲覧数を増やす中でデータを取りながら閲覧単価を下げることが、これからの採用で最重要であると考えています。
アメリカで流行ったの採用手法が毎回3~5年遅れで日本に入ってくることを見ると、この目線でいかざるを得ないです。
上記の出稿を管理するアグリゲーションサービスの利用に関してはこれからとても有効かと思います。

ここで使う自社求人サイトの作り込みも成約率(エントリー)を高めるポイントです。
求職者ファーストの視点で、会社が求めることより、求職者に与えられるモノやコトを書くことです。
ペルソナを設定し、どの様な形でエントリーさせるかという戦略に合わせた作り、よく当たるキーワードを盛り込むことも大切です。

また、CGM(Consumer Generated Media)「企業の口コミサイト」が普及してきているので、従業員満足度が高くない会社は圧倒的に不利です。
求職者が仕事を探すとき、「google」→「indeed」→「会社求人ページ」→「openwork、転職会議などの順に閲覧する傾向にあります。
事実、企業名をgoogleで検索すると、「株式会社〇〇〇 評価」という検索ワードが候補に上がってきます。
新卒、中途採用共に求職者に伏せておきたい不都合も容赦なく知られてしまうのです。
採用マーケティングも大切ですが、従業員満足度を高めておくことで安易に、また、ネガティブな理由での離職をさせないことで事業拡大に向けて攻めの採用が可能になるという部分も着目すべき部分だと感じています。

中途採用におけるその他の手法

中途採用を行う上で、上記以外にも方法はあります。

【転職スカウトサービス】
最近増えてきているのは、転職スカウトサービスです。
求人者が求職者データベースにアクセスし、いいなと思った求職者にオファーメールを送るものです。
求職者も強気に希望年収などを書いているので、好条件で採用できる企業や、ピンポイントで欲しい人材がいるときに有効な手段です。
ただし、採用数は期待できないと言っていいでしょう。
昨年、このサービスを提供している企業に問い合わせたところ、データベースには数ヶ月以上ログインしていない非アクティブな情報も入り混じっている旨を濁しつつも認めていたので、公表されているユーザー登録数などに信憑性があるかというと懐疑的です。


【人材紹介】
成功報酬は年収の30~35%が相場なので上記スカウトサービスよりも割高ですが、やはりピンポイントで欲しい人材がいるときに有効な手段です。
最近はどこの企業もとりあえず登録しておけというノリに近いので、専門性が高い職種では登録しても順番待ちでなかなか紹介してもらえない状況です。
また、採用してもらわなければ紹介会社も売上が立たないので、内定の可能性が高いお手軽案件を多く捌きたがる傾向もあります。
求職者、求人者のデータベースを共有する有料サービスがいくつも存在していたり、大手が捌ききれない求職者のデータを他の人材紹介事業が買っていたりするので、職業紹介法で他社との提携は許可されているものの、採用担当目線で見るとあまり良いとは思えないところです。採用コストが高いのもこれが一つの要因ですね。
同じ求人企業であると、上記のスカウトサービス部門と人材紹介部門で共有のデータベースを使っているケースもあります。
成功報酬が低く、しっかり自社で完結していればとても良いサービスだと思います。


【SNS採用】
SNS広告を使ったマーケティングと同じ手法での求人です。
カフェの様なオフィスに9分丈デニムとTシャツで出勤、もちろんMacbookで仕事してますといった「映える(ばえる)」企業だけはここで採用できます。


【リファラル採用】
必ずやるべき手法の一つ。
社員の知人を紹介してもらう手法です。
社員に対して成功報酬10万円など設けている企業もありますが、基本的に一切コストが必要ないです。
会社の楽しいイベントをSNSでガンガン拡散してもらったり、若手社員にリア充アピールさせる仕掛けを作り、自社の魅力を発信しする様仕向ける戦略もあるそうです。
デメリットとして、社員の友人ということで人間関係が複雑になる可能性あり。

まとめ

新卒、中途共に旧来型のモデルが衰退してきてしまった今、新たな採用マーケティングという目線に切り替えていく必要があります。
その中でもアグリゲーションサービス利用に関しては普及していないものの、これから良い風が吹くと見ています。
また、企業が「選ぶ立場」から「選んでもらう立場」に変わったことは受け入れていかなければならない時代になりました。
今まさに局面というタイミングなので、こちらのコラムを読んでいただいた方が、次の時代に備えて変化を起こす切っ掛けとしていただけたら幸いです。

今回、あくまでも日本人採用における求人者目線で書かせていただいたので、外国人採用については触れていませんが、採用条件の整っている業種の方々は外国人枠を社内に設けたり、受け入れる体制を作っていくことも本当に有効な選択肢の1つだと考えています。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!


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