3万1416人|浜松市の外国人住民から学ぶ採用・定着の現実
浜松市の外国人住民数は、2026年6月1日時点で3万1416人となりました。市の総人口に占める割合は約4.1%で、87の国や地域にルーツを持つ人々が暮らしています。国籍別ではブラジル人が9242人で最も多く、ベトナム人、フィリピン人、インドネシア人なども大きな存在感を持っています。浜松市は、製造業を中心に外国人材を受け入れてきた長い歴史があり、多文化共生や日本語教育、生活支援に取り組んできました。県内企業が浜松市から学ぶべきなのは、外国人を採用する方法だけではありません。入社後に安心して働き、地域で生活し、長く定着できる環境をどのように整えるかという視点です。
浜松市の外国人住民は3万1416人|総人口の約4.1%
浜松市が公表した住民基本台帳人口によると、2026年6月1日時点の市の総人口は77万5238人です。このうち外国人住民は3万1416人で、総人口の約4.1%を占めています。
区別では、中央区に2万6363人、浜名区に4558人、天竜区に495人の外国人住民が暮らしています。外国人住民の約84%が中央区に集中していますが、市内の広い範囲で外国人が地域住民として生活しています。
| 順位 | 国籍 | 住民数 | 外国人住民全体に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 1位 | ブラジル | 9242人 | 29.4% |
| 2位 | ベトナム | 5228人 | 16.6% |
| 3位 | フィリピン | 4842人 | 15.4% |
| 4位 | 中国 | 2375人 | 7.6% |
| 5位 | インドネシア | 2360人 | 7.5% |
| 6位 | ペルー | 1725人 | 5.5% |
| 7位 | 韓国 | 976人 | 3.1% |
| - | その他 | 4668人 | 14.9% |
ブラジル、ベトナム、フィリピンの3か国だけで、浜松市の外国人住民全体の約61.5%を占めています。
一方、2024年6月と2026年6月を比べると、外国人住民の総数は2万9533人から3万1416人へ増加しました。ブラジル人は減少傾向にある一方、ベトナム人は約11.6%増、インドネシア人は約40.8%増となっており、外国人住民の多国籍化が進んでいます。
外国人住民数と外国人労働者数は同じではありません。外国人住民には、企業で働く人だけでなく、子ども、学生、配偶者、就労していない家族なども含まれます。3万1416人全員が採用候補になるという意味ではないため、数字を混同しないことが重要です。
なぜ浜松市には外国人住民が多いのか
浜松市は、自動車、オートバイ、楽器、輸送用機械、電気機械など、多様な製造業が集積する地域です。工場や関連企業で働く人材の需要が大きく、外国人材を長年受け入れてきました。
特に大きな転機となったのが、1990年の出入国管理及び難民認定法の改正です。この改正をきっかけに、ブラジルやペルーなどから南米日系人が多く来日し、浜松市内や周辺地域の製造業で働くようになりました。
来日当初は一時的な就労を想定していた人でも、日本での生活が長くなり、永住資格や定住資格を取得し、家族とともに浜松市で暮らすようになったケースがあります。
浜松市では、長期滞在が可能な在留資格を持つ外国人市民が約7割を占めています。外国人は、短期間だけ働く人ではなく、住民、保護者、納税者、地域活動の担い手として生活しています。
近年は、ベトナム、フィリピン、インドネシアなど、アジア出身者の割合も高まっています。従来のポルトガル語対応だけではなく、さまざまな母国語や文化的背景を持つ人に対応する必要が生じています。
浜松市の特徴は、外国人が多いことだけではありません。外国人が家族とともに長く暮らし、地域社会の一員として定着している点にあります。
多文化共生先進地・浜松市から企業が学べること
浜松市は、多文化共生都市ビジョンを策定し、外国人市民の生活支援、日本語教育、地域参加、災害対応、外国人材の活躍促進などに取り組んでいます。
企業が外国人材を採用し、長期的な戦力として育てるうえでも、浜松市の取組から学べる点があります。
やさしい日本語で伝える
浜松市では、外国人にも理解しやすい「やさしい日本語」の活用を進めています。
やさしい日本語は、外国人だけに使う幼い表現ではありません。難しい言葉、遠回しな表現、長い文章を避け、重要な情報を短く具体的に伝える方法です。
例えば、「時間厳守でお願いします」だけではなく、「午前8時50分までに制服を着て、作業場所に来てください」と伝えた方が、取るべき行動が明確になります。
作業指示、安全教育、欠勤時の連絡方法、職場ルールなどを、写真、図、動画、数字と組み合わせて説明すれば、日本人の新入社員にも分かりやすい職場になります。
支援とルールの順守を両立する
多文化共生は、日本の法律や地域のルールを外国人に合わせて曖昧にすることではありません。
ごみの出し方、税金、交通安全、防災、職場の規則など、日本で生活し働くうえで必要なルールを分かりやすく説明し、守ってもらうことが重要です。
企業でも、外国人だからと注意を避けたり、評価基準を変えたりするのではなく、必要な説明と教育を行ったうえで、日本人社員と同じように公平に評価する必要があります。
会社だけで問題を抱え込まない
外国人社員が抱える問題には、仕事だけでなく、住居、子どもの教育、行政手続、病院、日本語学習、災害時の情報などもあります。
企業がすべてを代行する必要はありません。浜松市多文化共生センター、浜松市外国人学習支援センター、行政窓口、専門家など、地域の支援先へつなぐことも、企業ができる重要な対応です。
外国人材の活躍を企業の強みにする
浜松市には、外国人材の活躍推進に積極的に取り組む事業所を認定する「浜松市外国人材活躍宣言事業所認定制度」があります。
認定事業所には、事業所のイメージ向上、多文化共生分野の助言、日本語学習支援などのメリットがあります。また、外国人材の日本語能力試験N3以上の取得に必要な費用を負担する事業者を対象とした補助制度も用意されています。
外国人雇用を単なる人手不足対策として終わらせず、教育、職域拡大、昇進、能力発揮まで考える姿勢が、企業の採用力と定着率の向上につながります。
外国人材の採用と定着で企業が整えるべき6つの体制
外国人住民が多い浜松市であっても、求人を出せば自社に合う人材を簡単に採用できるわけではありません。
採用を成功させるには、国籍や人数だけではなく、在留資格、職務経験、日本語力、本人の希望と自社の仕事内容を確認する必要があります。
1.任せる仕事内容を明確にする
「外国人に働いてもらいたい」という状態から募集を始めるのではなく、どの仕事を任せたいのかを具体化します。
CAD、機械設計、システム開発、通訳、貿易、営業支援など、担当業務と必要な経験を明確にすることで、適した人材を選びやすくなります。
2.在留資格と仕事内容を一致させる
外国人は、保有する在留資格によって就労できる仕事が異なります。採用時には在留カードを確認し、予定する仕事内容が在留資格の範囲内であるかを確認します。
技術・人文知識・国際業務の人材を採用する場合は、本人の学歴、専攻、職務経験と、入社後に担当する専門業務との関連性が必要です。
3.実務で必要な日本語力を確認する
日本語能力試験の級だけでは、実務上の日本語力を十分に判断できません。
上司の指示を理解できるか、不明点を質問できるか、メールや報告書を作成できるか、専門用語を理解できるかなど、仕事に合わせて確認します。
4.教育担当者と相談担当者を決める
入社後に誰が仕事を教えるのか、困ったときに誰へ相談するのかを明確にします。
教える社員によって指示が変わると、外国人社員は混乱します。主担当者を決め、教育内容と習得状況を共有することが重要です。
5.定期面談と公平な評価を行う
入社後1週間、1か月、3か月などの節目に面談し、仕事内容、日本語、人間関係、労働条件に認識のずれがないか確認します。
また、外国人社員にも昇給、役職、専門性の向上など、将来のキャリアを示す必要があります。努力や成果が適切に評価される職場は、長期定着につながります。
6.生活面は地域の支援先と連携する
住居、行政手続、日本語学習、家族の生活など、仕事以外の問題が離職の原因になることがあります。
企業ですべてを解決するのではなく、浜松市や地域の支援機関、行政書士などの専門家と連携し、必要な窓口を案内できる体制を整えましょう。
外国人材の定着を左右するのは、外国人本人の努力だけではありません。企業が仕事内容、教育方法、評価基準、相談体制を明確にしているかどうかが重要です。
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まとめ|採用するだけでなく職場と地域への定着を考える
浜松市では、3万1416人の外国人住民が地域社会の一員として暮らしています。ブラジル人を中心とした長年の定住の歴史がある一方、ベトナム、フィリピン、インドネシアなど、アジア出身者の増加によって多国籍化も進んでいます。
浜松市から県内企業が学ぶべきなのは、外国人を採用すれば人手不足が解決するという考え方ではありません。
適法な在留資格、明確な仕事内容、やさしい日本語による説明、教育担当者、公平な評価、キャリア形成、地域の支援機関との連携を組み合わせることで、外国人材が長く活躍できる環境が生まれます。
また、外国人住民が多い地域だからといって、国籍だけで人材を判断してはいけません。同じ国籍でも、日本語力、専門性、職務経験、在留資格、本人の希望は異なります。
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求人内容と候補者の経験を確認し、無理なマッチングは行いません。
出典: 浜松市「行政区別世帯数人口(令和8年6月1日現在)」
外国人住民数は2026年6月1日時点の住民基本台帳に基づく数値です。外国人住民数には、就労者以外の子ども、学生、配偶者、家族なども含まれます。

